三菱自動車ミラージュの基本スペック(レビュー車両)
- レビューグレード:Mグレード
- パワートレイン:3A90 / NA / 1000cc / 3-Cylinder / DOHC / 69PS
- トランスミッション:CVT
- 販売価格:1,180,000円
ミラージュの外装デザイン
早速外装をチェックしてみますと、まず良いポイントは余計な張り出しが無い事。四隅が分かりやすいので、慣れない車ながら駐車は楽々です。とにかくシンプルで、悪く言えばこれと言って特徴がありません。もし三菱のロゴを外して、外国のメーカーのエンブレムを付けても全く気がつかない事でしょう。これまでの三菱っぽさは無いし、他車との共通項も見えません。
レンタカーでも長く乗ってると何となく情が湧くものですが、どうにもこの車は眺めても面白く無く、そのせいか写真も少ないわけです笑。ダサいとは言い切れ無いものの、チープさは否めません。
ミラージュの内装デザイン
少し驚いたのがこちらの”オートエアコン”。Mグレードは135万円程度ですが、この価格でオートエアコンを積んでいるコンパクトカーは意外と無いんですよね。軽であればムーブあたりは120万円代から積んでいるようです。
操作パネル自体は三菱の最上級クラスである”アウトランダーPHEV”と同じ。アウトランダーは左右座席の独立温度調整がついていますが、ミラージュは省略。逆を言えば、非常に高いアウトランダーと一番安いミラージュの部品が同じと言うのはユーザーとしてどうでしょうか・・・。
なお使い回しは三菱の得意技で、ウインドーの開閉ボタン等も同じ物を使っている模様です。(写真はアウトランダー)
後部座席です。思ったよりセンタートンネルが張り出している事もあり、あくまで4名乗車が基本のようです。少し座席を前に出してもらって、ちょうど足が収まる程度でしょうか。これならば最近の軽の方が広いでしょう。
ミラージュの運転フィーリング
一方軽さが影響しているのか、気になるのは車自体の安定感。車体がゆさゆさと微妙に上下動して安定しません。常に揺れがあるため、私は1時間運転して酔ってしまいました。運転席で酔ったのは久しぶり。まだ新車でサスペンションが固い?のもあるかもしれませんが、軽ければ良いと言うものでもないのでしょうか。
乗り心地やロードノイズはさして気になる点があるわけでもなく、またステアリング操作もフィットのように飛んでいきそうな事もなく、ここは三菱らしくしっかりしています。
こちらはシフトレバー。良心的なのはDsセレクトがある点です。DsはAT車で言えばセカンドですね。最近コストダウンのせいか無い車の方が多く、結構困ってしまいます。緩やかな坂道でいきなりLポジションを使うと、エンジンブレーキがかかりすぎてしまいます。また、上り坂ではCVTだと踏んでも反応が鈍い時があるので、Dsを選択して登り切ってしまう方が運転しやすいのです。
フットブレーキの連続使用は安全性にも関わる部分で、これは教習所でも散々教えられる重要な点。基本であるDs(Bやセカンド)を省略する理由が私にはいまいち理解が出来ません。最近変な位置でブレーキを踏む人が増えたのですが、エンジンブレーキがかけづらい事も影響しているかもしれません。
少し時間が余ったので、広い駐車場でエンジンルームを開けてみました。3気筒1.0リッターエンジンですから、エンジンルームはすかすか。これなら大きいエンジンも入りそうです。
※海外では1.2リッターエンジンが標準の地域があり、その後日本のモデルにも導入。
エンジニアでは無いので良し悪しは分かりませんが、ただのパイプのような空気取り入れ口を見るに、大してお金はかかってなさそうです。ただし、省かれがちなサスペンション基部のキャップはしっかり装着済み。上位車種では省かれているのに何故でしょう。
ミラージュの総合評価
もしもこの車がコルトよりも下のクラスで、営業車や買い物メインの車であれば結構良い方なのかなと思います。しかし装備を増やしただけで、他社の大きめコンパクトと戦わせるのは無理があります。
デザインは特徴が無く安っぽい。走りも凄く良いと言うほどではない。内装の使い勝手は良いが、決してプレミアムと呼べる部分は無い。そしてネガティブイメージのタイ製。色々並べるとお買い得感が乏しいのです。軽自動車規格の安全性に課題はあるとしても、最近の軽の方がお金はかかっているように見えます。
燃費については郊外の下道100kmほどで、燃費計にて17〜19km/リットルでした。ハイブリッド無しで、一時代前ならスゴイ!と扱われたかもしれませんが、こちらも最近の他車比較では特筆すべきレベルにはありません。
世界ではどうか知りませんが、やはり日本では売れていないそうです。CMからしてセンスが無いので仕方なさそうですが。どうにも今の三菱自動車は方向性が曖昧で、たまに他社の中途半端なモノマネをして、完全失敗しているような気がしてきます。
ちなみに、私個人では”タイ製だから×”と考えられる欠点は一切見えませんでした。そもそもの本体・部品の設計がチープ仕様なのであって、正直完成形は日本製だと言われても全く気がつかないほど普通です。以前試乗したタイ製マーチはがたがたと振動が酷く、チープさがまる見えで「やっぱりタイ製だ!」と思ってしまいましたが、こちらについては違和感がありません。
SUZUKIもスイフトはタイ製になるかもと長年言われていますし、マツダもタイの工場でMAZDA2(旧デミオ)を量産しています。円安・円高の如何に関わらず、時代の流れとして海外製造が増え、コンパクトカーほど日本への輸出というのが当たり前になるかもしれません。
おまけ1:蓋がベニヤ板
1996年製の車とコストダウンの手法が同じというのが、三菱の面白くも悲しい部分かもしれません。せめて吸音材や防振材はもう少し丁寧に貼って欲しいものです。
おまけ2:低価格車はそもそも売れるのか?
インドタタ自動車のナノは大失敗で有名になりましたが、誰しもお金が無いからと言って”中途半端な物は買いたく無い”傾向があるように思います。特に今は昔と違ってインターネットで情報共有出来る時代です。私の書いた記事はきっと他国の人も読んでいるでしょうし、”みんカラ”を翻訳する人も沢山いるでしょう。
どんどん買う側の知識が上がっていく時代に、果たして旧来のメーカー戦略・思惑は通用するのか、今後も観察していきたいと考えています。